本日(2021年4月27日)、中国上海で買ったDVD「蜗居」の最後2話を見た。(「蜗居」については、リンクをクリック。)
宋思明は、市政府の有能な役人だ。仕事一筋で生きてきたが、最後に大仕掛けに失敗し、共産党の規律検査委員会に調査されるはめになった。
自分が追い詰められたと悟った宋思明は、子供の萱萱(シュエンシュエン)の部屋に入り、娘と会話を交わすシーンがある。
「萱萱、勉強はどうだい?」
「パパったら、口を開くとすぐ、勉強はどうだい、勉強は進んでいるかい、そればかりね。他に話すことはないの?」
から始まる。それに続き父は、「これまでパパは萱萱と何も話してこなかった、萱萱が今どんなことに興味を持っていて、どんなことを知りたがっているのか、パパはまったくわからない」と告白する。その後、遺言のように、「残念なことに、過ぎた時間を戻すことはできない。」「強く生きていってほしい」と語りかける。
子供からも、「まるで別れの言葉みたい」と言われ、父親は真顔で「萱萱がパパの助けがほしいとき、助けられないかもしれない」と答える。
「私ってそんなに運がないの。パパはいつも人の面倒ばかりみているじゃないの。もう寝れば。私、宿題しなきゃいけないから。」と言って、部屋から追い出すのだ。
扉の外に出された宋思明が、思わず顔をしかめ泣くシーンが映る。
これは私に堪えた。自分と重なった。
長女が生まれてから昨年末まで、私はほとんどの期間を、前職で過ごした。その間、仕事しかしていなかった。それが普通だと思っていた。上海の2年間だけはパパデートと勝手に名付けて、長女と次女を交互に街に連れ出したこともあったが、ごくわずかな時間に過ぎない。
このままあの生活を続けていたら、間違いなく自分も宋思明と同じ運命をたどったと思うと、胸がつまってしまった。
仕事と家族。どちらも重要だ。Life Work Balanceといった言葉ではとても言い表せない、深く難しい問題が、多くの日系企業に横たわっている。
2021年現在、こんな感想を述べているが、5年後には、企業の姿は全く変わっている気もする。