『歩くだけでウイルス感染に勝てる!』 長尾和宏著 山と渓谷社 2020年4月

ぎばーブック~ギバー(Giver)からの「本」の紹介

健康・食品★★

ようやく、本の紹介を書けることができうれしく思います。これから、どんどん読んでどんどんアップします。

紹介文

新型コロナウイルス感染症が全世界に蔓延した直後に書かれた本。ウイルスで死なないためのキーワードは、抵抗力と免疫力を上げること。そのために必要な方法が「歩く」こと。心からの笑顔で病気を寄せ付けない。歩くことと呼吸法で副交感神経を優位に。パニックをあおる報道を恐れない。

きっかけ

長尾先生については、ニコニコ生放送の及川チャンネルでその存在を知った。その貴重なインタビューは、「2021/9/24 長尾医師」に記載した。

長尾先生はそのチャンネルの中で、歩くことの重要性について語っておられ、本も5冊出していると苦笑しながらおっしゃっていた。Amazonで検索してみると、「歩く」シリーズはすべてUnlimitedで読めることが分かった。

執筆時期の影響で、新型コロナウイルスにかなり言及している、この本から読み始めることにした。

メッセージは1つー歩行習慣

付随的なメッセージを全部取り除くと、「歩行習慣によってウイルスで死なない」。

ここでポイントなのは「感染しない」ではないということ。そもそも長尾先生は、「正しい情報よりもパニックをあおる報道を垂れ流しているケースが目につく(Kindle No.8)」と言っている。2020年4月に上肢されたことを考えると執筆時点はもう少し前であろうから、まだ新型コロナウイルスがなんだか全然わからない時期である。

その時点で、マスコミの姿勢に疑問を呈し、「もっとも有効なウイルス対策は、体力アップ、つまり抵抗力・免疫力を上げることです。(Kindle No.358-359)」と喝破しているのは、非常に歯切れがよい。もちろんウイルスの中には、新型コロナウイルスも含めて議論している。

ちなみに、なぜ「歩くこと」が有効なウイルス対策なのかという説明については、抵抗力・免疫力を上げるからという話より詳しいくだりは、あまりない。T細胞、B細胞といった話や、自力でIgA抗体を作るといった話は少し出てくるが、専門的なことは書かれていない。

これを読み手がどうとらえるかは、読み手次第だと思う。

ピンピンコロリ

楽しみながら歩く方法として、登山やハイキングを勧めている。そしてゴルフもよいと。「あのだだっ広い空間に人間はほんの少ししかいません。紫外線もたっぷり。ゴルフ場に通われている80代、90代の方が風邪をひいた という話を聞いたことがありません。免疫能がよほど高いのでしょう。(Kindle No.434-436)」と書いています。

自分も「ピンピンコロリ」を望んでいるので、以下を抜粋する。

「最後はピンピンコロリ がいいな」
 高齢の方がよく言われる言葉です。ピンピンと人生を楽しんで、最期はあっけなくコロリと死んでいく。このピンピンコロリを理想と願うのですが、現実は8割の人が真反対になります(中略)私は夕刊フジの毎週金曜日 に「ドクター和のニッポン臨終図巻」という連載をしています。その週に亡くなられた有名人の生き方 と逝き方を書いています。書きながらいつも思うのは、引退後もよく体を動かしているスポーツ選手にピンピンコロリが多いことです。
 高齢ゴルファーはあまり風邪をひかない、と書きましたが、多くの方がピンコロに近い形で他界されています。ゴルフ場の掲示板には最近亡くなったメンバーの名前が張り出されますが、つい最近までお見掛けし、元気にプレーされていた方ばかりなのです。 ゴルフやグラウンドゴルフやハイキングなどの歩行習慣がピンコロの理想を実現したのかもしれません。

『歩くだけでウイルス感染に勝てる!』 長尾和宏著 山と渓谷社 No.439

こちらも数値データなどはない。医者の経験値として、自分の身の回りの実感としてそのように感じているのであろう。

こもりメタボ

食べ過ぎと運動不足が重なると太る、そんな「こもりメタボ」は要注意だという。その文脈の中で、緩やかな糖質制限やカロリー制限を意識すべきと書かれているが、「スーパー糖質制限」はおすすめしていない。最近ネガティブなエビデンスが多く出てきているという。

あと、歩数について少し言及している。75歳未満で一日1万歩まで、75歳以上については最大でも一日8000歩以内という。(ちょっとこの設定はおかしな気もするが、要するに歩けばいいというものではないらしい。)

セロトニン顔

スーパーボランティアで時の人となった尾畠春夫さんを、セロトニン顔の代表的存在と書いている。行方不明者の救出はまさに歩行のなせる業。歩行習慣で幸せホルモンが分泌されセロトニン顔となるという論法だ。

セロトニンの材料となる成分が紹介されているので、列挙しておく。

  • トリプトファン:乳製品、納豆・豆腐・味噌、イワシ(体内で生成できない)
  • オメガ3脂肪酸:クルミ、エゴマ油、アマニ油
  • 淡水化物:省略
  • ビタミンB6:サツマイモ、イワシ

副交感神経-迷走神経

「迷走神経」という言葉は初めて聞いた。副交感神経の中の代表的な神経らしい。
迷走神経優位な生活を送るために、「歩行を習慣化する」と、ここでも語られている。

私がメモっておきたいものとして、

  • 夕食は寝る3時間前までに終わらせる。寝酒はやめる。
  • ヨガや太極拳で、呼吸を意識した静的な運動をする。
  • 決まった時間に起き、朝日を浴びて体内時計をリセットする。
  • お風呂の温度を40度以下にして、交感神経を刺激しない。
    (No.584より抜粋)

以下は自律神経のくだり。

自律神経を自らコントロールできる方法が一つだけあります。それは、交感神経優位の状態から、副交感神経優位の状態に変える呼吸法です。(中略)

・息は鼻で吸って口から吐く(腹式呼吸のイメージ)
・呼吸に対して2倍の息を吐く
・息を吐くときはゆっくり静かに(肺の中の空気を外に出すことをイメージする)
・場所を選ばず、どこでもできる。ただし人ごみのなかでは避ける

・・・ヨガ、太極拳といった運動や、瞑想をする際も1:2の呼吸を意識すると、さらなる効果が期待できます。

『歩くだけでウイルス感染に勝てる!』 長尾和宏著 山と渓谷社 No.602

インフルエンザが少なかった

2020年は、長尾先生のクリニックでインフルの患者数が例年の約3分の1程度だったという。全国の医療機関の統計も同様な傾向。加えて簡易検査によるインフルの的中率が下がったという。

これを先生は、「人間の細胞には一つのウイルスしか入ることができず、いわば細胞をめぐってウイルス同士の『縄張り争い』が繰り広げられるという仮説(No.728)」で説明している。「そういえばインフルエンザA型とB型を同時に発症するということはなく、A型が収束したころからB型が流行ることを町医者は経験的に知っています。(No.728)」と言われると、なるほどと思ってしまう。

死なないことがなによりも大切

長尾先生の以下のメッセージは、私にとって非常に説得力があった。そのまま引用することとしたい。ちなみにこの文章のあとに、「ただし、油断は禁物です。」と書かれているので、都合のいい切り抜きとならないよう、付記しておきたい。

 日々のパニック報道で恐怖ばかりを植えつけられた人が多いようですが、ウイルスは人類の大先輩。上手に付き合うしか手がありません。私が言いたいのは、 感染そのものよりも、死なないことがなによりも大切です。たとえ肺炎を発症しても、ほとんどの人は死にません。日本の医療レベルはすごいものです。日本には国民皆保険制度があります。そして世界でいちばん清潔な国です。街もトイレも水もきれいです。毎日のように風呂に入り、温熱療法(HSPといいます)で免疫能を高めているのは日本人くらいです。清潔な生活環境と、まじめな国民性があるのでほかの国に比べて死亡率がずば抜けて低いのだと理解しています。

『歩くだけでウイルス感染に勝てる!』 長尾和宏著 山と渓谷社 No.921
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