「仕事」をここでは対価をもらって実施する労働と定義してみる。昨年末までは組織に属していたため、当然に役割が与えられていた。そして私の属する組織は忙しかった。成果主義が徐々に導入されていたが、業務の性質上、お金になる仕事を取ってくればノルマ達成という「仕事」ではなかったので、報酬に見合った多くの業務を引き受けることで労働時間が際限なく増えた。報酬に見合うかどうかは、組織なので経営者が決める。
自分が今引き受けている業務は、十分に報酬と見合っていると思えば、断ることができるはずだが、評価するのは経営者、つまり他人であるため、そこに忖度が働いた。これでは十分と思われないだろうと。結果、他人より多めの業務を入れることで期待に応えようとした。これが昨年までの自分の姿であった。
今、「仕事」はほとんどない。幸いなことに1つだけ頂戴している。そのため、時間はふんだんにある。先方は自分の事情を知っていたとしても、決して無茶な期限設定をすることはない。急ぎだとしても、常識の範囲内で依頼が来るので、私にしてみれば、急ぐという感覚は全くなくなった。
期限に追い立てられて、あくせく働くのになれていたので、今の状況は非常に不思議な感覚だ。しかし、明らかに今の方がFeel Goodである。頭も働くし、体も楽だし、何より精神的に健全だ。頭が働くという部分をもう少しひも解くと、時間があるといろんなことを考えることができる。特に最近はよく歩くので、歩きながら、あーしようこーしようとアイデアが浮かぶ。これが非常によい。
現在、2つのタスク依頼が入っている。今回は少し特殊なのだが、夏季休暇を挟んでの依頼なので、期限がたっぷりある。つまり、1週間の期間を自由に使って作業し、お盆明けまでに回答すればよいのだ。
これほどまでにたっぷりと時間があることで、新しい発見があった。
自分がいつ仕事始めるかという点に、興味を持った。自分の性格上、ギリギリは嫌いなので、ある程度前から開始することは予想されていた。結果は、10日のお昼にいただいたタスクの1つを本日始めた。
本日所用もあり作業時間は1時間15分で切り上げたが、明日には終わることがはっきりしたので、明日までに回答しますと伝えた。もう1つのタスクも明日取り組むことになるだろう。
この感覚は非常によいと思った。かつて、夏休みの使い方は、1)すぐに「仕事」を始めて早く終わらせるか、2)金曜日あたりから初めて土曜日で終わらせる(日曜日はバッファー)パターンのいずれか。さらに数年前は、「仕事」が終わることは基本ないので、1)の派生形である、すぐに「仕事」を始めても最後まで終わらないであった。
今の私は、仕事量が圧倒的に少ないのだから、1)の派生形は起こり得ないが、1)でも2)でもないことが、仕事の仕方が健全になった証拠だと思う。
1)は早く終わらせないと、来るべき次なる「仕事」に対応できないという強迫観念がある。と同時に、タスクを早くさばいて終わらせたいという、やっつけ感が頭の中にある。
2)は基本的に「仕事」をしたくないのである。「仕事」は対価をもらうためにやらなければならない義務なので、(仕方がなく)やっている感がある。
それでは、仕事が増えていった場合、どこまでFeel Goodが維持できるのか。これが問題だ。
これは小山内洋子さん(小山内さんについては、「2021/8/8 『大転換期後の皇の時代』再読」を参照)が、著書の中で次のように言っている。「月の過ごし方は、仕事1/3、そのための学び1/3、遊び1/3」だと。(後ほど正しく引用する予定)つまり働くのは月に10日ほどということだ。
今の常識では考えられないが、私もこの程度のペースがBestなんだろうなと感じている。それ以上増えると、今のFeel Goodを維持することは難しくなってくるような気がする。
16時ごろ渋谷のタワーレコードに行った。非常に久々に行った。クラシックの階は、店員さん以外、人は皆無であった。早速所望のものを尋ねると、詳しく教えてくれる。これは昔から、それこそ40年近く前から変わらない。クラシック音楽のフロアを担当する店員は、ご自身がクラシックマニアなので、話が早いし、聞かれること自体、そして調べることが、大好きなのである。
ところが、非常に幸運なことに店員と一緒に、在庫有無の調べ物をしていたら、明日からオンラインで全品ポイント15%還元であることが分かった。私が買おうとしているものは高額なセットものなので、明日買うことに決めた。
夕方からは、大学時代の親友と会った。緊急事態宣言とお盆が重なって、空いてない店が多かった。アルコール提供店舗も限定的であった。7時まで2人ならばというルールがあったはずだが、このルールは非常に使い勝手が悪いから、いっそアルコール提供なしにした方がお店としては効率がいいのかもしれない。
さて、いろんな話をしたが、1つ書いておきたい。6年前にリアルの事務所をたたんで、バーチャルに切り替えたという。そのおかげで、多くの義務から解放されたという。今日はスタッフさんが来るから、朝起きなくてはいけない。事務所に行かなければいけない。こういった当たり前のルーチンがなくなった。
「今の生活に大変満足している」。いや、「今の人生に満足している」と言っていたように思う。もちろん生活するために収入を得ていることは言うまでもないが、そのために「しなければならない」といったものが一切感じられなかった。
自分がこんな次元に達する日は来るのだろうか。

