一昨日、久しぶりの大学時代の親友に会った。ちょっとしたことを伝えるために、数日前FBのメッセンジャーを送ったところ、「会社設立祝いをしていなかった。4月2日はどうですか」との返事をもらったためである。
彼は大学卒業後財閥系の一般事業会社に就職し、ほどなくして辞めて非常にマイナーな出版業界に入った。その後独立して今に至る。当時、事業内容はとても食べていけるという確信を持てるものではなかったが、あれからすでに20年以上が経過している。
奥井潔先生、権田雅幸先生
私の活動ネームに話題が及ぶと、予備校の話で盛り上がった。当時駿台予備校には奥井潔先生という異彩を放っている英語講師がいた。死んでもなお、当時の駿台予備校の主任講師である伊藤和夫の名は受験英語業界で名を馳せているが、あの時代、奥井の授業を受けたものの多くが、彼の授業に心を奪われたはずである。「文学的な文章の読解を得意としており、その講義はしばしば受験用の英文解釈の域を超えて、人生論・道徳論などに及び、多感な年齢の受験生への啓蒙的役割を果たした。」とWikipediaに紹介されている。(奥井潔先生についてはリンクをクリック。)ちなみに、奥井という名前は、奥井先生から取ったわけではないが、決めたとき奥井先生を思い出したのは確かである。心の中であのような魅力的な講義をできるようになりたいと思ったのだろう。
その流れで、彼から河合塾の地理の講師である権田雅幸先生の名前が出た。私は河合塾でなかったため、お会いすることがなかったが、熱狂的なファンが沢山いたことは知っていた。「権田さんのような授業をすればいいんだよ。単なるテキストの解説なんかしてはダメだ。あのような授業をすれば必ず全員が興味を持ち、(その科目が)できるようになるのだから。」こんなアドバイスだったと思う。
彼が何を言いたいのかその本質的なところは分かった気がしたので、具体的にどんな授業だったのかと聞くことはなかった。
Will、Can、Should、コアコンピタンス
さて、自分は本当に何がしたいのか。これを探り出すのは残念ながら容易ではない。長らく競争社会に身を置いて上を目指してきたため、「Will、Can、Shouldが交わった仕事を選べ」、「自分のコアコンピタンスは何なのかとことん自問自答せよ」、あるいは「そのビジネス・モデルは本当にマネタイズできるのか、投資家へのプレゼン資料にデータの裏付けはあるのか、ベンチャー・キャピタルを説得できるのか」、などの発想からまだ抜け出せていない。もちろん、そういった考え方を否定するつもりはない。しかし、自分はその世界から卒業するために会社を辞めたのだから、もっと違う発想でやっていきたいと思っている。
そんな中、彼からの何気ないアドバイスが、私の心をわくわくさせた。確かにそんな授業をやってみたい。かつて奥井先生が私を魅了したように。Wikipediaによれば私が奥井先生の授業を受けていたのは、彼が62歳のときである。まだ間に合うではないか。あの味を出すのに時間はかかるが不可能ではない。そう考えるとやる気がでてきた。