2021/9/12 金石さようなら

ぎばーノート~ギバー(Giver)という生き方の記録

金石というのは、中国大連郊外の地名である。地図で表すと以下の通りである。
そもそも中国大連市ってどこという方も多いと思う。なので、最初に中国全土における大連市の場所を、以下の白地図で示してみたい。

中国の東北3省(黒竜江省、吉林省、遼寧省)のうち南に位置する遼寧省、その南端にある遼東半島の中にある地方都市である。遼東半島は、日露戦争の舞台になったところなので、名前を知っている人も多いと思う。この半島のさらに南側に旅順という町がある。(ただし、大連市は人口約600万人に対して、旅順は20万人ちょっとなので、都市とは言えないかなという感じ。)

金石高爾夫倶楽部

さて、私は3年間ほどこの地に住んでいたのだが、この間、とあるゴルフ場に通い詰めた。このゴルフ場の名前を金石高爾夫倶楽部(以下、金石)という。大連市の地図をGoogle Mapから落として、マーカーを使って書いてみた。左下の緑で囲んだあたりが大連市の中心街である。ここから右上端の赤で囲んだところにゴルフ場がある。

地図を見ていただくと、何となく分かると思うが、市街から金石まではそれなりに遠い。車で1時間10分ぐらいかかる。金石滩国家旅游度假区(金石灘国家観光リゾート)の中にあり、太平洋に隣接したゴルフ場は、圧倒的な景観である。

私はここで2008年6月22日にゴルフデビューした。同じパーティーの3名は、日系上場子会社の社長3名。ここで186という歴史的スコアをマークした。

このゴルフ場は、自分にとって本来悪夢のゴルフ場となってもおかしくないのだが、景色のあまりの美しさに、私は魅了されてしまった。3年間で過ごしたうち、どんなに少なく見積もっても100回はラウンドしたと思う。(100回という数は、ゴルファーにしてみれば、そんなに多くないじゃないかと思うかもしれない。ただ、大連は北に位置しているので、10月後半から3月前半までは、基本クローズなのである。そのため、8か月を3年でこの回数は、なかなかのものだと思う。)

10月に超悲しいニュースが私のもとに届いた。以下のMP4である。“被拆” とは、取り壊されるという意味である。映像を見て信じられなかった。

大げさでなく、私の大連生活の3割ぐらいの思い出がすっ飛んでしまった。

私はゴルフ場のコースを覚えるのが苦手で、何度言っても覚えられない。理由の一つは、スコアを叩きまくっているので余裕がないからであろう。ただ、それにしても覚えられない。

しかし、100回行ったここは完璧に頭に入っている。2番の打ち下ろし、3番のショートの茶店で青島ビールを飲む、4番は左に行くと崖下に落ちるので右狙い、5番は2打目が要注意、6番は意外に難しく、グリーンはうねりまくっている。そして7番。このMP4のカバー動画が7番だ。映している場所はティーグラウンドである。信じられないと思うかもしれないが、青ティーで打つ場合この景色になる。このグリーンは前下がりになっていて、グリーンに直接オンすると必ずこぼれる。低めの弾道だとグリーンオンはOBになってしまう。

と、こんな感じで話し出したら切りがないが、このゴルフ場、今原稿を書いている時点でなくなっているのだ。

この情報は私の後任から送られてきた、すぐに私の前任からも送られてきた、そして今の駐在員からも送られてきた。そして、今でもお世話になっている、大連で知り合ったゴルフ仲間に、私からシェアーした。

そうしたところ、その一人から8月10日に突然閉鎖作業が始まったという情報をいただいた。当時予約をしてくれていた日本語のできる女性のブローカーに聞いてみたそうである。「28年間営業されていたのに、違法なため営業停止された由。」とのこと。

悲しくてこれ以上言葉がない。

もしかしたら、私がゴルフのセミリタイヤを決めたのは、これが理由だったかもしれない。政府の取り壊し決定時点が少し前だとすると、私の意思決定時と完全に一致しているのかもしれないと思った。