2021/8/14 『太平洋戦争の大嘘』を読む

ぎばーノート~ギバー(Giver)という生き方の記録

数日前、ニコニコ生放送の及川幸久さんのチャンネルの第7回目の冒頭を聞いて、少なからず驚いた。張陽さんがゲストだったのが第8回目だったので、第7回目はその1週間前の8月6日である。すべてをライブで聞かなかったので、あとから録画で聞いたのである。

及川氏が、広島に原爆が投下されたこの日に、「なぜ日米戦争が起きてしまったのか」について、こう言及した。

  • そのきっかけが、ハリーデクスターホワイト Fルーズベルト政権財務次官補である。
  • ハル・ノートの草案を書いた人。
  • ソ連のスパイだった
  • アメリカもソ連のスパイにやられた。この人がいなければ日米戦争は起きていなかった
    この一人の人物のスパイの活動が成功したことによって、ソ連の計画通り日米が戦うことになってしまった。

私は、ハリー・ホワイトという人物の名を1ミリも聞いたことがなかった。何も知らなかった。なのに、及川氏は、この一人の人物がいたために日米は戦争したという。

この発言を文字通り取り上げるつもりはない。私にとって大事なのは、以下の点であった。
今まで10か月以上彼の言動を聞いている中で、私は彼を誠実で信頼のおける人物であると思っていること。
第一情報に当たることの重要性を繰り返し説いている彼が、敢えて「ハリー・ホワイト1人のために先の戦争が起きてしまった」と言っていることである。

おそらく、他の人が断定的にこのようなことを言ってもスルーしたかもしれない。
この聞き捨てならない情報は、絶対に調べようと思った。

そういえば、藤井厳喜氏の『太平洋戦争の大嘘』を出版社から無料でもらったのに読んでいなかったことを思い出した。それを今日読んだのである。

結論から言うと、ハリー・ホワイトなる人物の記述は一か所もなかった。ただ、以下のようには書いていた。

「ルーズベルトはソ連が大好きですから、大統領に就任してすぐにソ連を承認しているくらいです。冷酷な独裁者ヨシフ・スターリンをアンクル・ヨシフ(アンクル・ジョー)と呼ぶほどで、スターリンには親しみを持っていました。ルーズベルトの側近やブレーンにも、ソ連のスパイやシンパが山のようにいました。これは秘密でも何でもない、公然たる事実です。」(『太平洋戦争の大嘘』 藤井厳喜 ダイレクト出版 P65)

同書は、YouTubeでも繰り返し広告しているが、戦後50年出版を許されなかった、ハーバート・フーヴァーの『フリーダム・ビトレイド』を読んで、藤井氏が触発されて書いたものである。『フリーダム・ビトレイド』に書かれているものの中から、彼が今の日本人に知ってほしいことだけを選んで書いたものであり、ルーズベルト政権の内情には触れられていないのは当然といえば当然かもしれない。

藤井氏は保守派の論客なので、もともとルーズベルトに対しては否定的だったはずだが、フーヴァーの著作を得て、我が意を得たりという気持ちで書いたのだと思う。

本の中で触れておきたいことと言えば、次の結論的な一節であろうか。

 チャーチルもルーズベルトも、スターリンの戦略には遠く及ばなかったと言えるでしょう。スターリンは、資本主義国同士を戦わせて漁夫の利を得ました。戦後は疲弊した国々で社会主義革命を起こすという明確な戦略を立てていたのです。
 ですから、第二次世界大戦で本当の勝者というのはソ連であり、スターリンでしょう。
 ソ連は第二次世界大戦で死者2000万人以上という最大の犠牲者を出したと言われますが、ドイツとの戦争で獲得した東ヨーロッパで、次々と共産党政権を樹立させました。スターリンにとっては国民が何人死のうが関係ありません。共産主義の世界的な大進展や、なおかつソ連の強大化が現実になりました

『太平洋戦争の大嘘』 藤井厳喜 ダイレクト出版 P154

そのソ連も1989年に崩壊する。

そして、ゴルバチョフが進めるペレストロイカを傍目に、絶対に政権をつぶしてはならないと舵を切ったのが鄧小平である。その中国共産党は、今や世界第二位の超大国となり、世界の覇権国家の一翼を担っている。

これらの歴史から我々は何を学ぶべきなのか。一つだけ言えるのは、今の現状が答えではないといこと。1985年の時点であれば、ベリリンの壁が4年後に崩壊し、ソビエト連邦が6年後に解体されることは誰も想像しなかったはずだ。

さて、ハリー・ホワイトを調べるタスクは未完了である。明日、別の本を読んで当時の歴史を振り返ってみたいと思う。

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