斎藤静樹著 『企業会計入門』から-企業会計の仕組み⑤

ぎばーノート~ギバー(Giver)という生き方の記録

会社の資産のなかに、値上がりしていても、それだけではまだ投資の成果が得られたといえないものがあったらどうしますか。資産の価値を正しく伝えるためにバランスシート上での評価替えを優先し、結果として利益に異質な要素が混ざり合っても仕方ないと思いますか。反対に利益を正しく測るには、成果といえない値上がりは無視し、資産の評価が現在の価値と違ってもやむなしと考えますか。資産も利益もどちらの情報も犠牲にしないよう、利益を2つの部分に分けるやり方は、本当に問題の解決になっていますか。ほかによい方法はないでしょうか。あらためて検討してください。

『企業会計入門』 斎藤静樹著 有斐閣 P61

含み益

先生は、「値上がりしていても、それだけではまだ投資の成果が得られたといえないもの」と言っていますが、これは「含み益」のことを言っているのでしょう。典型例は、保有している上場株式の含み益です。一方、保有している地価も上がっていれば含み益ですね。ただし、会計上は上場株式の含み益と、不動産の含み益は分けて考えます。

前者は、市場で時価がついていること、その価格で売却可能なもの、後者はそれに当てはまらないものだからです。不動産はあくまで相対取引であって、株式市場のようなものがある訳ではないですね。売買取引事例はあったとしても、その価格でまた売却可能かどうかは分かりません。

よって、ここで取り上げるのは、上場株式の含み益のようなケースとなります。

含み益は利益に異質な要素

含み益を損益計算書に認識してしまうと、利益に異質な要素が混じると書いています。含み益は一時点の含み益であって、実際に売却していないから実現していないもの。だから、投資の成果が得られたとは言えない。それは利益という概念とは相いれないものではないか、と言った問いかけだと思います。

含み益だけ議論してしまうと片手落ちになります。実は含み損も同様です。なので、利益だけではなく損失も頭に入れて考えるべきです。

これらを財務諸表に反映するのかしないのかという議論においては、大半の人が「反映すべき」というでしょう。なぜならば財務諸表は投資家に資する情報を提供しなければならないという使命を持っているからです。

リーマンショックで株式市場が暴落し、巨大な含み損が発生していたとしても、それらが会計ルール上反映不要となっていたら、投資家はその会社のバランスシートを適切に把握することができません。

ところが、その含み損をすべて損失として処理するのはおかしいという人が出てきます。あくまで含み損であって、損失は発生していないからです。

利益を2つの部分に分けるやり方

これは、会計の専門家でないと全く意味不明かと思います。

企業が1会計年度に取引をした成果をまとめたものを損益計算書といいます。(ここでは資本取引を除きます。)売上はいくらか、コストはいくらかかったか、その結果いくら儲かったか、損したかを示します。

しかしながら、上述のような評価損益といった、取引と言えないものも、財務諸表に反映するとなると、どうしてもバランスシートと損益計算書の間にずれが生じてしまいます。

前期末と当期末のバランスシートの変化を、すべて1年間のフローとしてまとめて示すのが包括利益計算書です。上述のずれとは、まさに包括利益計算書と損益計算書のずれを意味します。

そこで、包括利益計算書を損益計算書とその他包括利益計算書に分けるという折衷案が考え出されたのです。

本当に問題の解決になっているか

この問題は難問です。そもそも問題とは何なのでしょうか。問題が明確に把握されないとその解決は無理です。残念ながら私は何が問題なのかよくわかりませんでした。現行は、包括利益計算書を2つに分けて開示する方法が採用されていますが、その開示方法が非常に有用だと思っており、それで特に問題は発生していないと考えております。