【日経ビジネス】 2021/11/10

ぎばーノート~ギバー(Giver)という生き方の記録

山崎将志(ビジネスコンサルタント、アジルパートナーズ代表取締役) 「知っているようで知らない『大金持ち』の正体」

この記事の結論は、「給料では大富豪にはなれない」ということで、株式投資を勧めている。

この結論に特段の異論はないが、その過程で示すさまざまなデータが興味深かった。

子供にお金持ちになれそうな職業は何かと聞くと、スポーツ選手、芸能人と答えるという。

  • テニスの錦織圭は2020年の所得が34億円以上、読売巨人軍の坂本勇人は年俸5億円、MLB(米大リーグ)に行った大谷翔平は2年で約9億円など。
  • 年々人気が上向いている日本女子プロゴルフ界の19年の賞金ランキングを見ると、トップの鈴木愛が1億6000万円、2位の渋野日向子が1億5000万円強となっている。

上記は引用を要約したもの

しかしながら、「それだけ稼げる選手は当然ほんの一握りである。」
プロ野球選手としての入り口に立てるのは年に100人前後。毎年およそ3000人の合格者が出る東京大学よりも入るのが難しい。さらにプロ入りしても1軍の試合に出られるのは約300人。

ゴルフについていえば、女子プロゴルファーのランキング100位の賞金額が500万円を少し超える程度である。このクラスでは賞金以外の収入はあまり期待できない。さらに参戦に必要な旅費やプレー代も選手の自己負担だ。ちなみに男子はランキング100位の賞金額は500万円に満たないという。

獲得賞金額が1000万円を超えるのは、女子で85位、男子で64位というデータも書かれている。

同じように芸能人についいても触れているが、「芸能界は3万人の椅子取りゲーム」だという。面白いことに、この30年、(モデルも含めた)芸能人人口は全く変わっていないそうである。3万人と聞くと多く聞こえるかもしれないが、この中には、芸能活動だけでは生活できない人も含まれている。

付け加えて言う。「誰でも顔と名前が分かるレベルの芸能人は100人はいるが、500人はいない。だから実質的にはプロ野球選手並みの狭き門である。」と。

次に、お金持ちになれる確率の高い職業は何かと問い、それは経営者と開業医と答えている。

経営者はちょっと前提を置いて300万人。日本の就業者数が6,600万人なので22人に1人は社長ということになる。医者は30万人強、開業医は10万人強らしい。

上場会社の社長が、社長の中のトップクラスだとすると、その人数が3,800人。氏いわく、芸能人より経営者を目指す方がよほど堅実だという理屈になる。

記事の核心はこれから書かれていることなのだが、私の関心は上記までなので、ここで終わりとする。

高岡浩三(ケイアンドカンパニー代表取締役) 「ホワイトカラーが時間給なんて日本だけ 元ネスレ高岡浩三の直言」

11月8日付けで紹介した坂本光司さんのお話のあとに、高岡さんの意見を書くのはちょっと気が引けるが、マネジメントを勉強する上で、非常に参考になるお話しだ。

高岡氏は日本の改革には半信半疑だという。10年前に盛り上がった、ホワイトカラー・エグゼンプション制度(記事では、「一定の基準を満たしたホワイトカラーに対しては労働時間、休憩、休日、深夜業務の規制を除外できるという制度」と説明している)も、経済3団体が途中で「労働法を変えてもらわないと実現できない」などと言い出し、腰砕けになり、結局何も変わらなかったという。

ご自身が社長をしていたネスレ日本では、経営スタイルはとても日本的だったが、 ホワイトカラー・エグゼンプション制度を導入した。従業員の99%が賛成したという。

高岡氏は、「もともと、ホワイトカラーが時間給で仕事をしている国なんて、先進国では日本だけです。」と断言する。「ホワイトカラーは本来、『これだけのアウトプット(成果)を出すのがあなたの仕事です』と決まっている人たち。だから成果さえ出せるのなら『いつ仕事をしてもいい』し、『いつ仕事をしなくてもいい』わけです。」

今の日本の多くの企業の経営者でここまで言い切れる人はいるだろうか。この考えを堅持するには、アウトプット(成果)の評価を適切にする仕組みが不可欠である。どうも、ここで多くの日本企業はつまづいているように思う。

こうした必然的な変化のことを僕は「新しい現実」と表現しています。新しい現実がやって来ると必ず、「新しい問題」も発生します。

(中略)

日本では、こうした新しい問題に対応できる企業の数があまりにも少ない。これは経営者に問題があると思います。プロの経営者を育ててこなかったために、新たな事象や言葉が出てきても、その意味をきちんと考える習慣が身に付いていない。

「ホワイトカラーが時間給なんて日本だけ 元ネスレ高岡浩三の直言」  高岡浩三 日経ビジネス 2021/11/10

こうしたは、ここではリモートワークのことを指している。他にも、高齢化社会が「新し現実」、老老介護が「新しい問題」である。

新しい問題に対応できていない一例として飲食業をあげている。利益率が低いという。和食がユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の「無形文化遺産」に登録され、これほど素晴らしい食の文化があるにも関わらず、利益率が低いという。ホテルも宿泊料金が非常に安いという。

なぜこういったことが起きるかというと、マーケティングの発想がないからだという。
そして、「日本では高齢化が急速に進行していますが、海外のホテルでは、『ホテルを終の棲家(ついのすみか)にしてもらう』ことによって、高齢の富裕層を取り込んでいます。」という一例をあげている。

プロの経営者はどうやって育てられるのか、日本はなぜそれができなかったのか、この辺りをもう少し勉強してみたい。