『コロナ禍の9割は情報災害』 長尾和宏著 山と渓谷社 2020年12月

ぎばーブック~ギバー(Giver)からの「本」の紹介

健康・食品★★

紹介文

新型コロナウイルス感染症により、日本中で生活習慣病や心の病気が悪化している。ステイホームを強いられたこと、コロナは怖いと煽るマスコミが恐怖を植え付けたことによる人災だという。“コロナ関連病”の方が100倍心配。今必要なのは、自然免疫力を高めるために「歩くことが大事」だという。

先生の著書の特徴

独断と偏見で、先生の著書の特徴を書くと、とにかく分かりやすい。歯に衣着せぬ物言いなので、非常に分かりやすいやすいのだ。そして当然に歯切れがよく痛快だ。
まだたった2冊しか読んでいないが、「はじめに」を読むと、この本で何を書きたいのかのみならず、結論も書いてある。なので、超多忙な人はここだけ読めばいいのかもしれないと思うほどだ。
あと、先生の結論に関して、その結論を導いた詳細なエビデンスは示されていない。ここは好き嫌いが出るだろう。長年大学での臨床医と町医者をやってきた経験から感じるところも、「仮説」としてばんばん示されるので、私は読んでいて面白い。

ステイホームの弊害

これは前著の『歩くだけでウイルス感染に勝てる!』にも書いていたことだが、マスコミ批判は痛烈だ。これを「インフォデミック」で国民を殺すと強烈な皮肉を放っている。

まずPCR検査はウイルスが体内にいるかどうかを調べるだけ、細胞内に入り込んで感染したかどうかはわからないという。

コロナうつと自殺が増えている。女性の自殺者は2021年8月において前年同月比で1.4倍だそうだ。アルコールの影響もある。昼から酒を飲む。そして、「ストロング系」缶チューハイは、一気に酩酊状態に陥って衝動性が高まるという。

ストロングチューハイは私も一時期よく飲んでいた。7%でも500ml飲むとかなり酔う。9%であれば350ml缶で十分だ。9%の500ml缶を飲んでしまうと、完全に酩酊する。アルコール量的には、ワインが12%としてボトルが750mlであるから、ボトル半分を飲む計算だが、それ以上に酔うイメージがある。

実際に、美味しいと思って飲むことはない。酔いたいから飲むのだ。つまりこれは、体を痛めるストレス発散に過ぎない。

PCR検査と感染

2賞の「なんたって、自然免疫」に書いているのだが、ここは、結構専門的に書いていてくれていて大変勉強になった。

まずウイルスについての説明を引用しておく。

 ウイルスは、生命の最小単位である細胞を持ちません。DNAまたはRNAという遺伝子がタンパク質でくるまれた形をしています。そのため、自分だけで増殖することはできません。ウイルスが生き延びるには、ほかの生物の生きた細胞の中に入り込み、そのエネルギーや代謝のシステムなどを間借りする必要があります。
 侵入した細胞内で自分の遺伝情報(DNAやRNA)を放出して、その細胞に自分の複製をつくらせるわけです。そうやって、ウイルスは増殖していきます。  

『コロナ禍の9割は情報災害』 長尾和宏著 山と渓谷社 No.342

ここから先は私なりの要約になる。PCR検査ではウイルスが体の中にいるかどうかしか分からない。ウイルスに感染するというのは、細胞の中に入り込んだ時点(正確には「ACE2受容体」にくっつく時点)だそうだ。その前に自然免疫で撃退されれば感染はしない。

自然免疫には、白血球の中にある「食細胞」や「NK細胞」がある。これを先生は「町のお巡りさん」と名付けている。

食細胞たちが「サイトカイン」というシグナルを出す(よく炎症で熱がでる)、そして食細胞の樹状細胞が「抗原提示」を行うと、白血球の中でもリンパ球が活性化するという。リンパ球の中の「T細胞」「B細胞」を獲得免疫と呼ぶ。T細胞は「ヘルパーT細胞」と「キラーT細胞」に分かれ、前者は司令塔、後者は攻撃部隊。「B細胞」ヘルパーT細胞の指令を受け抗体を作る。

彼ら獲得免疫のことを、先生は「軍隊」だという。そして、自然免疫が大事だという。

国際医療福祉大学の高橋泰教授の「感染7段階モデル」を要約する。高橋教授は、「新型コロナウイルスの98%程度は、自然免疫で処理され、完治する」と述べている。高橋教授は、ウイルスや感染症の専門家ではないそうだ(専門は医療経営や医療制度)。非常に分かりやすく参考になる。

ステージ説明
ステージ0暴露したことがない。体内にウイルスが入っていない状態。
(2020年7月の時点で国民の7割)
ステージ1体内にウイルスが入ってきても自然免疫の力で撃退し、感染が成立したことはない。
ステージ2ウイルスが細胞の中に入り込んできて感染は成立したが、自然免疫の力で撃退。
症状はほとんどないか、風邪程度の症状で済む。
ステージ3獲得免疫が働き、抗体ができる。
ステージ4ウイルスが全身に広がり、肺炎や、下痢や腹痛などの消化器の症状が表れる。
ステージ5「サイトカインストーム」という免疫の暴走が起きたり血栓ができたりして重症化。
ステージ6死亡。(1万人から2.5万人に1人。)
『コロナ禍の9割は情報災害』 長尾和宏著 山と渓谷社 No.459~467より抜粋

PCR検査ではウイルスが体の中にいるかどうかしか分からないという、長尾先生の言っていることが正しいとすると、ステージ1も陽性者と呼ぶことになる。感染前なのだから、当然にほぼ無症状なはずである。

テレビでは「無症状感染者」という言葉をよく聞いたが、上記モデルによれば、ステージ2の人のことを指す言葉であろう。でも実際には、ステージ1と2の人を合わせて、そう呼んでいるのだろう。現在の検査薬では、これを分離して識別することはできないと言われてしまえば、それまでかもしれない。

ここで少し立ち戻ると、そもそもPCR検査を受ける人は何らかの症状があって、怖いから受けるのがほとんどであろう。本日現在、私は症状がないのでPCR検査を受けたことがない。だとすると、実際にはステージ3以上の人しか検査を受けに行かないともいえる。なので、やはり陽性反応がでた人は、「感染者+症状あり」の人なのかもしれない。

肥満とコロナの関係

これは本書に限らず、長尾先生がブログでもご自身のにこにこ動画でも繰り返し書いている。

 肥満の人が重症化しやすいこともわかっています。
 肥満と新型コロナの関係は、一般の人にはまだまだ知られていませんが、実は2020年5月ごろからすでに指摘されていました。国際動脈硬化学会は以前から「肥満がリスクになる」 というメッセージを発信していました。
 なぜ、肥満の人は重症化しやすいのでしょうか。
 その理由もわかってきています。
 先ほど、新型コロナでいちばん厄介なのは血栓症を引き起こすことだ、と書きました。血栓がつくられる原因となるのが、「PAI-1(パイワン)」 という悪玉のサイトカインが増えることです。パイワンには、血液の凝固をうながす作用があるのです。
 新型コロナウイルスが目・鼻・口の粘膜から体内に入り、さらに血管内に入り込んで、血管の内側を覆っている血管内皮細胞に感染すると、「IL-6(インターロイキンシックス)」 というサイトカインが放出されます。そうすると、パイワンが増えて血栓がつくられやすくなるのです。
 なおかつ、このパイワンという悪玉サイトカインは、内臓脂肪からたくさん出ていることが知られています。そのため、肥満の人が新型コロナに感染すると、もともと内臓脂肪からパイワンがたくさん出ているところに、ウイルスの影響でさらにパイワンが増えるので、より血が固まりやすくなるわけです。

『コロナ禍の9割は情報災害』 長尾和宏著 山と渓谷社 No.564

その他、男性の方が重症化しやすい。これは、男性のみが持つY染色体が短く、年々短くなっていると言われているようだ。新型コロナに限らず、男というのは病気に弱いものなのだと語っている。

タバコを吸うとACE2受容体が増えるので、ウイルスが細胞(※)に入るための入り口をどんどん増やしているという。
※本文は「体内」。文脈的に「細胞」とした方が文意が通じると判断した。

自然免疫とウォーキング

自然免疫を主に担っている、マクロファージ、好中球、樹状細胞といった食細胞と、NK細胞が、働きやすい環境を整える。これが、自然免疫力を高めるということ。

町のお巡りさんは、血流やリンパに乗ってパトロールするので、その流れをよくすること必要がある。そのために、体を動かすことがが大事ということ。

一方でハードな運動はおすすめしていない。体への負担が大きくストレスとなるものは良くないと。歩くことがちょうどよいのですという結論になる。

ストレッチ、ヨガ、太極拳のように、ゆっくり呼吸しながらゆったり体を動かす運動はよいようです。

なお、免疫細胞の働きは、体温が上がると良くなるという。37度よりもやや高いくらいが最も活動しやすい温度だとのこと。
その点でも、歩くことで体を温めましょうと書いている。

睡眠について

睡眠については、「睡眠は、量(長さ)と質の両方が大切です。(No.691)」と書かれている。質については、「質の良い睡眠を得るには、まずは、寝つけないからといって薬やお酒に頼らないこと。そして、寝る前にパソコンやテレビの明るい画面を見ないこと。特にパソコンやスマホから出ている 青い光(ブルーライト) は、睡眠ホルモンのメラトニンを強く抑制します。(No.727)」と説明している。

私は幸い薬を飲むには至っていないが、長年お酒に頼ってきた。特にここ2年は酷かった。お酒を飲み続けて酩酊し、これ以上仕事はできないと感じた時点で、床に入り、朝起きる生活を続けていた。朝は6時15分起床なので、結果平日は4-5時間の睡眠しかとっていなかった。

そして、寝る直前まではPCを使っていた。朝起きた瞬間に携帯に眼をやる。ブルーライト漬けでもあった。

まず自分の意志で何とかなるのは、お酒であろう。20時以降は飲まないと決めることができれば、大きな改善になる。

食事について

免疫細胞の7割は腸にいる、特に小腸と書かれている。上では、血液とリンパの流れをよくすることを書いているが、同時に腸内環境をよくすることも重要だということになる。

そこで食物繊維が登場する。善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やしてくれるという。特に「水溶性食物繊維は、腸の中でネバネバしたゲル状になり、いらないコレステロールや糖を吸着して体の外に出してくれます。(No.774)」便も軟らかくしてくれる。

「具体的には、海藻やオクラ、長芋、アボカド、きのこなど。 ネバネバ系の食品 には、より不足しやすい水溶性食物繊維が多く含まれています。また、大豆やえんどう豆といった豆類も水溶性食物繊維が豊富なのでおすすめです。(No.780)」

これをもって、「なんとなく免疫力が下がっていそうなときほど、睡眠・食事・歩行の三位一体に取り組んでほしいと思います。(No.952)」とまとめています。

その他

日本は、結核の「中まん延国」であり、BCGワクチンの接種義務があったことが、新型コロナウイルスから守ってくれている可能性があると言及している。

「結核になると、がんになりにくい。それは、結核になると体内の自然免疫が鍛えられて、がん細胞ができても免疫によって排除されるため、がんになりにくいのだろうと考えられています。(No.1072) 」

 骨粗しょう症、認知症、逆流性食道炎の3つが三大お薬ビジネスです。
 いずれにしても私が言いたいことは同じで、薬に頼る前に歩いてほしい。
 歩けば、骨に適度な負荷がかかって、骨が強くなります。
 歩けば脳の血流も良くなり、頭を使いながら歩けば認知症予防になります。
 歩けば自律神経のバランスが整い、胃腸の働きも良くなって胸やけもしなくなります。
 歩けば良くなるという単純な法則を、なぜ医者が気づかないのかといえば、医者がお薬ビジネスに洗脳されているからです。だから、患者さん自身が賢くなってほしいと思います。

『コロナ禍の9割は情報災害』 長尾和宏著 山と渓谷社 No.1337

歩きすぎについて

最後に、こちらについて触れたい。歩き過ぎも良くないという。別の種類の病気になると。

「歩き過ぎ」の話に戻すと、歩き過ぎの人は安保先生が言うところの顆粒球人間です。歩きすぎると活性酸素が増えて、がんなどの病気にかかりやすくなります。よくマラソン選手は短命になるといわれますよね。激しいトレーニングで活性酸素を増やすと、短命になりやすいわけです。

『コロナ禍の9割は情報災害』 長尾和宏著 山と渓谷社 No.1421

安保先生の考えは医学界のなかで認められた仮説ではないと書いたうえで、長尾先生は「当たっているように感じています」と賛同している。

その上で、「一日1万歩」信仰は都市伝説のようなものであり、根拠はほとんどない。8000歩で頭打ちであると書いている。それ以上歩いても、かえって活性酸素を増やしたり、膝や腰を痛めるので逆効果になりかねないという。

ちなみに、1万歩にほとんど根拠がないのはいいとして、8000歩で頭打ちになる根拠も、残念ながら書かれていない。次作等で、その理由をもう少し明らかにしてもらえるとありがたい。

免疫貯金

筋肉や骨はある程度貯金することが可能だが、免疫は特に貯金することができないようだ。免疫力というのは同じ人でも日々刻々変わっている。日々免疫に良いことを取り入れ、免疫を下げるようなことをなるべくしない。それが、「毎日こまめに歩き、十分な睡眠をとり、食べ過ぎないで腸内環境を良く保つこと(No.1459)」。