冒頭にショッキングな内容が書かれている。
「7月7日午後10時に製品を発表する」という予告広告を出したことで、SONYは、100万元(1800万円)もの罰金を支払うことになったという。
7月7日は、日中戦争開戦のきっかけとなった「盧溝橋事件」が起きた日だからである。中国のネット上で批判が殺到し、SONYは翌日に広告を削除して謝罪した。
中国で仕事をしてことがない人にとっては信じられないと思うが、こんなことが、中国では当たり前のように起こる。この記事でも触れているが、予告をしただけで、すぐに誤りを認め、謝罪の上取り下げたにも関わらず、罰金を科されたのだ。
中国マーケットで仕事をし続ける以上、「(過去問題視されなかったことが問題になることを)危機管理として認識しておくべきだろう」というのが著者である上海支局長の広岡延隆氏の意見である。
さて、ここで我々日本人が知っておいた方がいい、「中国で活動する日本企業が注意すべき日」を記載しておく。
3月15日 | 世界消費者権利デー | 中国国営中央テレビが商品やサービスの問題点を特集する番組を放送する。 |
5月4日 | 五・四運動 | 1919年。対華21カ条要求に含まれていた山東省権益がパリ講和条約で認められたことに対して学生が抗議。抗日運動が盛り上がるきっかけ。 |
5月9日 | 対華21カ条要求受託 | 1915年。日本の要求を、中華民国の袁世凱政権が受諾。国恥日。 |
7月7日 | 盧溝橋事件 | 1937年。北京郊外の盧溝橋で日中両軍が衝突し、45年まで続く日中戦争の発端となった。中国では「七・七事変」と呼ばれ、国恥日。 |
9月3日 | 抗日戦争勝利記念日 | 日本の降伏調印の翌日。当時の国民党政府が記念日と定めた。中国政府は2014年に「抗日戦争勝利記念日」と定めた。 |
9月18日 | 柳条湖事件 | 1931年。遼寧省瀋陽市郊外の柳条湖で関東軍が南満州鉄道の線路を爆破し、満州事変が勃発。中国では抗日戦争が始まった日として「九・一八事変」と呼ばれ、国恥日。 |
12月13日 | 南京事件 | 1937年。南京が陥落して旧日本軍が入城。多くの非戦闘員の殺傷や略奪があったとされ、中国政府は2014年から「南京大虐殺犠牲者国家追悼日」としている。国恥日。 |
さて、私は5年2か月中国で仕事をしていたが、これらの日を強く意識することはほとんどなかった。唯一、2012年9月11日に尖閣諸島国有化問題が起きて、その直後の柳条湖事件の日などは暴動が予想されるといった話があった程度に記憶している。
実際、国有化問題は、中国のCCTV(中国国営中央テレビ)は連日大きく取り上げた。朝から晩までこの話を流して日本のことを悪く言うので、一気に反日感情が高まった。
私の勤めている会社で、同僚との関係が損なわれることはなかったが、典型的なのはタクシーである。タクシーに乗って行き先を告げると、どうしても日本人だとばれてしまう。(これは、日本語の流ちょうな中国人を、日本人が中国人だと見抜くのと同じで、どんなにがんばっても中国人に同化するのは難しい。)
そこで、2度くらい降りろと言われたことがあった。悪質なケースでは、中国語があまりよく分からない日本人に対してさんざん罵ったあげくに、降りる間もなく急発進してケガをさせた。
マスコミの洗脳を甘く見てはいけないと思ったのはこのときである。