本日、思い立ったら即行動ということで、大相撲秋場所で行ってきた。
両国駅で降りたら、さほど人がいなかった。国技館に向かうと、チケット売り場が閉鎖されている。電光掲示板を読むとリアルでは販売していないという。ただし、ネットならば当日券が買える。ただし17時までである。
早めに行きまだ16時前だったので入り口で、チケット大相撲のウェブ画面に入り、2階イスC席を購入した。以下の画像に示す通り、平日は3,500円だ。
大相撲は入ろうと思えば、午後1時からやっているので、5時間も観戦することが可能である。それをこの値段で観戦できるのだから、お値打ち感は抜群である。
国技館に入るのは生まれて初めてなのでお上りさん状態だ。正面に優勝杯が飾ってあるガラスケースの写真を撮り、その横で大相撲公式ファンクラブの勧誘をしていたので、早速加入した。ただし、初回なので無料会員の「十両コース」に止めた。幕内コース、小結コース、関脇コース、大関コース、横綱コースをランク分けが細かい。横綱コースは年間費何と33万円!今どきにしては、ものすごく高価格設定だ。
さて、場内に入ると、テレビで見るよりも人の入りは少ない。なぜならば、テレビに映らない2階席などの人の入りはかなり少ないからだ。逆に言うと、土俵に近い、溜席や桝席は結構な人がいるということだ。
両国国技館の座席表は、こちらのリンクをクリック。(ただし、2020年(令和2年)5月からすべての本場所を対象に席種および料金が変更になっており、リンクの座席表は料金変更前。桝席Aは、新料金後に、前4列がS席となり、後4列A席と分かれることになった。)
前の方になると料金は、結構なかなかである。席種と料金はこちらのリンクを参照。
さて、私の席の周りには人が多かった。新型コロナウイルス対策で、隣席は必ず空けられているいるが、一つ飛びで両隣は友人同士で来ていた。C席は安いのでそこに人が多くいるのは、ある意味当然かもしれない。
チケット購入に手間取ったこともあり、入場するとすでに中入り後の取組が進んでいた。
座席表Cは2階席の一番後ろ側である。土俵からは無茶苦茶遠いところにあるが、見えない訳ではない。視力が1.0あればしっかり見ることができるだろう。
取組を見だして、すぐ右隣りの若者の1人が、とてつもない大相撲ファンであることに気づいた。マニアックと表現すればいいのか、いやそれだけでは足りない。もう完全に大相撲ラブなのだ。
どのぐらいマニアかというと、力士の部屋の名前はもちろん、その年齢や、今場所の戦績も頭に入っている。同じ部屋の他の力士の名前もそらんじている。相撲が始まる前に、どんな取組になるかを、独り言でぶつぶつ予想している。
これは私には非常にありがたかった。ややもすると気難しい人が近くにいたら「黙れ」と言われても仕方がないほど、しゃべくり続けているのだが、私にしてみるとただで解説を聞けた分、得した気分になった。
入場時に今場所の星取表や、呼出や行司、審判員の名前などが書かれた取組表が配られる。それを見ながらの観戦であったが、呼び出しと行司が、2取組ごとに変わると言う事実を始めた知った。そんなに頻繁に変わっていることが新鮮だった。行司などは来ている服も違うし声も違うのだから、気づいてもよさそうなものだが、今まであまり気にも留めなかったのは、やはり力士に注目していたからであろう。
呼出の声はそれぞれ違う。私は、重夫という呼出の声が本当に響きがあって美しいと思った。(Wikipediaの人物評には、「呼び上げに関しては兄弟子たちからずっと「下手」と呼ばれ、2019年3月場所前の記事でも苦手であることを認めている。」と書かれていて、唖然とした。)
そういえば、大相撲と言えば、昔から永谷園のイメージが強い。これは私が小学校の頃よく見ていたとき、懸賞に永谷園の垂れ幕をしょっちゅう見ていて、頭に焼き付いているからであろう。
やはり本日も永谷園は懸賞を出していた。Wikipediaの懸賞(相撲)にも書かれているが、1つの取組に5つの懸賞を懸けて、「味ひとすじお茶づけ海苔の永谷園、鮭茶づけの永谷園、梅干し茶づけの永谷園、たらこ茶づけの永谷園、わさび茶づけの永谷園」と、場内放送でお茶漬けふりかけの名前が連呼され、笑いを誘っていた。
何もかも新しいことばかりで楽しんでいた私だが、クライマックスは結びの一番にあった。
この日は、照ノ富士(西横綱)と宇良(東前頭六枚目)であった。始まる前、隣の若者(見た目は10代)は「これは圧倒的に照ノ富士だけど、うーん、この2人が今日、結びの一番で戦うことこと自体に意味があるんだ」と言っていた。「二人とも幕内から序二段まで落ちて、そこからまた這い上がってここまで来た。こんな例は、過去の大相撲の歴史でないことなのに、それが2人もいて、今対戦しようとしている。」
こんなことを言っていた。私はこの2人にそんな歴史があるとは全く知らなかった。
さて、取組を見てもらうのが一番いいので、NHKの大相撲取組動画の宇良-照ノ富士(秋場所10日目)を見てほしい。(いずれ、上記動画は見られなくなる可能性があるので、大相撲取組動画はこちらをクリック。)
2人の力士はともに、両膝をテーピングでぐるぐる巻きにしている。本当に痛々しい。そして、横綱が左上手をとった1分19秒後に館内の大きなため息。皆分かっているのである。ここで勝敗が決まった。ところが、宇良は執念で裏返ったまま土俵に落ちなかった。この光景が今でも目に焼き付いている。
今、この記事を書きながら、ネット検索していると、いろんな記事が引っかかる。
NHK記者が書いた「照ノ富士と宇良 大けがから復活した2人 魅力いっぱいの好勝負 大相撲秋場所」は、良記事だと思うので、興味のある方は見てほしい。
ちなみに、宇良は最高位前頭四枚目から序二段106枚目まで落ち、照ノ富士は大関から序二段48枚目まで落ちた。相撲の格付けは、横綱、大関、関脇、小結、前頭(ここまでを幕内という)、十両(ここまでの力士を関取という)、幕下、三段目、序二段である。その下は序の口しかない。
この2人の力士が結びの一番で出会う日に、初めて国技館で大相撲を見ることができたのは、最大級のギフトだった。
取組終了後、隣の若者は超興奮していた。「あの最後の執念は何なんだ。膝が悪いのに。こんなに感動したことはない。俺は一生、今日の取組を忘れない。」と。
最後に日本相撲協会の公式サイトは実によくできている。ここに大相撲のすべての情報が格納されている。ただ、残念ながら過去の取組は平成25年までしか遡れない。