『資治通鑑』について

バブル世代の書評ブログ

中国関連★★★

百田尚樹の『禁断の中国史』を読んで、『資治通鑑』のことが頭から離れなくなってしまった。まず、ちくま学芸文庫『資治通鑑』田中謙二編訳を早速買ってみた。ところが、冒頭から全く読み進むことができない。

最初なぜかよくわからなかったが、それは、本文現代語訳とその訳注が一緒くたになっているからであることが分かった。せめて本文訳とその注釈が分かるように分離されていれば、注釈を飛ばして読むことが可能だが、続けざまに書かれているのでそれができない。

しかも、『資治通鑑』は全294巻もある超大作だが、このちくま学芸文庫版は16巻分を抜粋したにすぎない。

読むことへのモチベーションが下がってしまったが、ふとAmazonのKindle版に『徳田本電子版 全訳資治通鑑』があることを発見した。「全訳」という言葉に惹かれた。

試験的に「1戦国時代」を買って読んでみると、これが面白い。訳が完全に現代語であるのと、註が別になっているのだ。

この訳著者は、徳田隆(とくだ りゅう)という方で、「中国歴史世界」というウェブサイトによれば、自称 中国歴史研究家であるらしい。

このような方が、途方もない作業に取り組まれていることに、まずは畏敬の念を禁じ得ない。

さて、この『徳田本電子版 全訳資治通鑑』であるが、2022年12月現在、全21冊が発行されている。しかし、「1戦国時代」の序を読んで驚いた。全訳は電子書籍では九十冊余りとなり、シリーズ完成まであと十年を要すると書かれている。翻訳を始めてからすでに二十三年が経過しているという。まさにライフワークそのものだ。

電子書籍は全93冊を予定しているようだが、2018年に第22分冊を発行して以来、音沙汰がない(第10分冊は未刊)。徳田氏の年齢を考えると、全訳が完成するのは難しいかもしれない。

私は、このブログで『資治通鑑』の紹介をしようと思う。理由は3つある。

1つ目は、日本人には相当マイナーで歴史書であり、解説本はほとんどないことから、私がブログで紹介するのは意義があると思われる。

例えば、同じ編年体の歴史書に『春秋左氏伝』がある。これは全訳本もあれば解説本も複数出ている。それに対して『資治通鑑』の紹介は希少性がある。

2つ目は、本書を通じて、中国及び中国人について考察することに意義があると思われる。ちまたにあふれる中国信仰や、逆に中国バッシングを、資治通鑑の無数のケースを通じて検証してみたい。これは、俯瞰してみる、複眼的思考の訓練にもなりそうだ。毛沢東の愛読書だったというだけで興味を惹く。

3つ目は、中国の歴史上あった出来事に対して、今の自分がどう感じ、自分の人生にどう生かすのかについて書いてみたいと思った。あくまで今視点、自分目線での分析である。

この試みをする前に、『本当に残酷な中国史大著「資治通鑑」を読み解く』という本を読んでみた。リベラルアーツ研究家という肩書で、決して中国史の専門家ではない方が、中華書局版の全4巻、ページにして1万ページを読み切っていた。ちなみに中華書局版とは、標点本と言われているもので、句読点、疑問符、感嘆符をつけ、さらに人名、地名に横線が付加された「原文」である。ちなみに「原文」は古文であって、現代中国語(白話)ではない。

同書は、資治通鑑を通じて、著者の視点から中国人の本質に迫ろうとした力作であった。私は、私の視点でもっと気楽に書いていきたいと思う。

英訳はしません

資治通鑑については、以下の理由で英訳は断念させてください。

  • 中国の人名の変換が大変であること
  • 引用文の自動翻訳の修正は骨が折れること
created by Rinker
¥1,760 (2024/06/14 07:28:01時点 Amazon調べ-詳細)